第2章 Family ~ひとつになること <双子0歳>
「翔にぃが体力ないんじゃないの?」
「普通の人は36時間とか働かないから…」
からかうように言う雅紀に、翔は至極まっとうな反論をする。
「えーでも24時間テレビとかあるじゃん?
翔にぃ、司会してたじゃん?」
「あれは火事場の馬鹿力みたいなもんでしょ?
雅みたいに常態化してるわけじゃないじゃん?
さすがにあのあとは何日か休暇もらったし…」
「まぁねえ、確かに医者ってマトモじゃないかも?
想像以上に重労働だもん。
正直、医者は体力勝負みたいなところ、あるからね」
「それはお前見てればわかる。
俺、医者にならなくてよかったわ」
心の底から言ってるように見える。
負け惜しみではなく、翔は医学部に現役合格出来るだけの学力はあった。
しかし…そこに魅力を感じなかっただけだった。
「でも…なりたかった小児科医になれたんだし、頑張りなよ」
「もちろん、まだスタートラインだからね?
頑張りますよ」
「おっ、頼もしいねぇ」
「翔にぃ!からかうなよ」
「からかってないじゃん」
非常に仲のいい兄弟である…。
「帰りにさ、ちょっと覗いてきたけど、智も和も元気だったよ!
土曜日が待ち遠しいね」
「雅紀、お前土曜日の予定は?」
「休みになったよ。
先輩が『土曜は休んで双子を迎えてやれ』って…。
その分、今日と水曜日は先輩の代わりに病棟入ることになったけど」
にこにこ笑う雅紀。
よかったね、いい先輩に恵まれたんだね?
自分もだけど周りに支えられてるのを感じた瞬間だった。