第5章 Fantastic Version <双子2歳>
「まーくんも?」
和也が不思議そうな顔で聞く。
「うん、病院のお仕事は夜もあるからね?
俺だけじゃないよ?潤くんも夜中仕事してたりするでしょ?」
「まーほどじゃないけど時々ね?時差があるから」
雅紀に話を振られた潤が答える。
「じゅんくんも?」
智が呟く。
「そんな心配しなくても大丈夫だよ、ふたりとも」
潤が言うと雅紀も二人を安心させるように続ける。
「そうそう、俺たち大人だから大丈夫なの」
にっこり笑って言う雅紀に更に翔が言う。
「でもね、二人はもう帰って寝ようね?」
「やー、しゃと、おうましゃん~」
「せかいじゅうのるの!のるの!」
翔のひとことに激しく抵抗する双子。
「もう、帰ろう?
ディズニーランド、また来ようよ?ね?」
「やだ!やだ!」
「か~え~ら~な~い」
普段、割りと聞き分けがいい双子。
しかし今日は聞かない。
「しゃと、おうま!せかいじゅうも!」
特に智が聞かない。
ここぞとばかりに智の頑固さが思いっきり発揮される。
どうするって顔で視線を交わす大人たち。
「じゃあ、1個だけ。
1個だけ乗ったら帰ろう?ね?
キャッスルカルーセルでも
スモールワールドでも構わないから…。
ね?」