第5章 Fantastic Version <双子2歳>
「今日、最後のお仕事はな、翔くんと仲良ぉ、パレードを見ること!
二人とも喧嘩しちゃあかんからな。
ええ子で見といてな?」
横山の言葉に二人はニコニコしながら答える。
「しゃととかずゅ、いいこなのー」
「ねー?さーと?ぱれーどみるのね?」
「うん、みるぅ」
そんな二人を見ながら翔が横山に確認するように聞く。
「ねぇ、そんなんでいいの?」
「あぁ、それがええんや」
「え?」
翔が驚いたような声をあげる。
「二人がさ、目ぇキラキラさせながらパレード見てる絵が欲しいんよ。
昼の番組に癒しの一時ってやつや。
翔くんもそのまま見ててな。
ナレーションは明日の午前中な」
「もう頭のなかに出来上がってるのね?Vが」
翔の言葉にニヤリと笑う横山。
「当たり前やろ?誰だとおもっとんねん?」
「失礼しました、敏腕プロデューサー殿」
ウインクしながら言う翔に横山が突っ込む。
「だから…ちゃうって!翔くん、分かっててやってるやろ?」
「うん」
翔は双子そっくりの笑顔で横山に短く答えた。