第5章 Fantastic Version <双子2歳>
歩いてきた和也は抱っこと言うように手を伸ばす。
雅紀は和也を抱き締めた。
腕の中の和也は雅紀の頭に小さな小さな手を伸ばす。
「まーくん?だっじょーぶ?えーんないよ」
ゆっくりと雅紀の頭を撫でる和也。
和也の手から優しい気持ちが染み込む気がした。
いつもの笑顔に戻った雅紀に和也も微笑む。
「和?ほかになんか入れる?」
潤の声に雅紀の腕の中から「ない~」と答える和也。
3人で飲み物を取りながら席へと戻る。
席に戻ると、翔と智も戻ってきた。
ようやく泣き止んだのか目は赤いものの笑顔の智にホッとする雅紀。
そんな雅紀に翔が声をかける。
「悪かったな、もう大丈夫だからさ。
雅がちゃんと叱ってくれてよかったよ。
もう、しないもんね?智?」
「ん、ましゃ、めんしゃい。
もぅ、しないの。ね?」
「うん、さと、キツく言ってゴメンね。
恐かったね?」
そう言う雅紀に首を振る智。
雅紀に向かって笑顔を浮かべながら言う。
「ましゃ、だーいすき!」
「よし、さと、まーとご飯取りに行くか?」
「ん、ましゃと~」
雅紀と手を繋いで歩き出す。
潤がその様子をみながら翔に言う。
「翔くんこのあとまだ、仕事でしょ?
早く取りに行っておいでよ?」