第5章 Fantastic Version <双子2歳>
「…っめん…っさい…んっ…め…しゃい」
泣きながら謝り続ける智。
雅紀が必死に宥める。
「大丈夫、大丈夫だから。怖かったね?」
「雅?どうしたの?なんで泣いてるの智」
スマホを片手に戻ってきた翔が宥め続ける雅紀に聞く。
「うん、ちょっと興奮したみたいで椅子の上に立っちゃって落ちかけたの」
「え?大丈夫なの?」
「落ちる前に受け止めたし怪我も無いんだけどね?驚いたみたいで泣き止まなくて…」
「そっかぁ…。おいで智?もう、大丈夫だよ。
雅、先、食事取ってきていいよ?
少し外連れてってくるからさ」
翔の提案に頷いて智を翔に託す雅紀。
こういうとき、やっぱり過ごした時間がものを言うのかもしれないと思う雅紀。
少し寂しい気分でビュッフェ台の和也と潤のもとに向かった。
ビュッフェ台で和也のリクエストを聞きながらミッキー型のお皿に器用に盛り付けていた潤が雅紀の姿を見て「どうした?」と目配せしてくる。
「うん、ちょっと智に泣かれてさ」
雅紀のせいではないのに、気まずそうな顔でそう呟いた。
「あの泣き声、やっぱり智か…」
「うん、椅子から落ちそうだったからちょっときつめに言っちゃってさ」
切なそうな雅紀の顔に和也が雅紀の足元に歩いていく。