第5章 Fantastic Version <双子2歳>
翔のコメントが終わって一呼吸つく…。
中島の合図で撮影が終了した。
横山が来てみんなに声をかける。
「これから19時まで一時解散。
夕飯済ますもええし、乗りもん乗るもよし。
19時にパレードルートのここに集合!」
そういってパークの地図に印をつける。
「ここでパレードの取材したら終わりやから。
んじゃ、また後でな」
横山の声を受けて翔は子ども達のもとに向かった。
「おまたせ、ここからしばらくフリーだから」
時計をみると17時前。
2時間どうするか考えようとしたところに和也の声が割り込む。
「しょーちゃ!かず、てぃっちとおはなしした!」
「うん、そうだね。お話しできたね?楽しかった?」
「うん!てぃっち、どっちすき?って!」
よっぽど嬉しかったのか興奮ぎみに話す和也。
「お話しできてよかったね?」
和也の頭を撫でながら言う翔。
普段なら一緒に喋り掛けて来るはずの智の声が聴こえないのが気になって目を向ける。
「え?」
想像もしてなかった光景を目にして翔は一瞬固まる。
「智?どうしたの?」
智は静かに泣いていた。
声を出さず目に涙を溜めて…。
唇を噛み締めて…泣いていた。