第5章 Fantastic Version <双子2歳>
「ほーら、ふたりともわがまま言わない。
翔さんは、仕事で来てるんだから邪魔しちゃダメだよ?」
潤がそう言いながら智に手を伸ばし薮から受けとる。
「すみません、ありがとうございます」と薮に言う潤。
「いや、こっちこそ、役に立たなくて…」
恐縮する薮に潤は笑いながら言う。
「とんでもない。
うちの子達、こう見えて人見知りなの。
会って初日で抱っこなんてよっぽどのことだよ?
役に立ってないなんてないから」
「かずはまーのところおいで。
中島くん困っちゃうよ、さととケンカ始めたら…」
「まーくん、ごめんなさぃ」
「それは俺に言うことじゃないと思うけど?」
和也を中島から受け取りながら和也に言う雅紀。
「あっ、中島くんにちゃんと『ありがとう』した?
抱っこしてくれたんでしょ?」
こういう部分には厳しい雅紀。
和也は慌てて中島にいう。
「ゆーと、ありあと。また、してね?」
にっこり笑いながら中島にお礼を言う和也。
「あっ、智は?ちゃんと薮くんにお礼した?」
くびをふるふるしたあと、薮を見る智。
「こーた、あーと♡ こーた、しゅき」
こちらも天使のようなスマイルと舌っ足らずな喋り方で薮に礼を言った。