第5章 Fantastic Version <双子2歳>
智と和也はそれぞれ薮と中島に抱っこされたまま、目の前のキャストが始めた説明を聞いている。
「これからみなさんにはスティッチ・モニターステーションからスティッチの様子をご覧いただきます。
途中、スティッチとの回線が繋がるかもしれません。
みなさん、スティッチの姿をよく見ていてくださいね?」
キャストは一息置いて、更に説明を続ける。
「このあと、皆様からみて右側の扉が開きます。
前3列は小さなお子様向けの席になっております。
最前列はお子様のみ、2列目以降は保護者の方と一緒にお座り頂けます…」
キャストの説明は続く。
薮と中島は顔を見合わせ、翔の肩を叩いた。
振り返る翔に座席をどうするか聞く翔。
「ふたりともどうする?
スティッチ見るとき前のお椅子に二人だけで座る?
それともパパの横にお座りする?」
「おすわり?ぱぱ、だっこない?」と和也。
「しゃと、ぱぱのおひじゃ~!」
「んーんー、さとない!かずがおひざ!」
「マズイ…始まった…」
双子の喧嘩に困る翔。
「智くん、俺の膝は?」と困り顔の薮が提案する。
「や、ぱぱがいい!」と智はあっさり拒否。
「和くん?俺じゃだめ?」とこちらは中島。
「だめ!しょーちゃ!」こちらも譲る気はない和也。
困り果てる薮と中島。
そこに声が掛かる。