第5章 Fantastic Version <双子2歳>
とてとてと音がしそうな足取りで二人は翔のもとを目指す。
青空の下、智と和也は翔に駆け寄り抱きつく。
そんな二人を抱き寄せる翔。
その顔はアナウンサー櫻井翔のものではなく、双子の父親の顔だった。
横山が薮たちに合図を送る。
二人がその合図で戻ってくる。
再度合流した一行。
「翔くん、次な、新アトラクション行くで」
このあと、新アトラクション『スティッチ・エンカウンター』の取材を予定している。
現在、本オープン前のプレオープン期間でこの時期は雑誌やテレビなどのメディア、スポンサー関係の招待客などに向けて解放されている。
一般のゲストも長時間並べば乗れるらしい。
付き添っていたキャストが入口のキャストに声をかける。
戻ってして横山と話すと横山は時計を見て素早くテレビ日本の面々と打ち合わせをする。
そのあと、双子と潤たちのもとに行き二言、三言会話を交わしてまた、元に戻った。
翔がスティッチのポップコーンバケツを首から下げ、入口でアトラクションの概要説明をしている。
カメラが翔を追う。
「…というわけでもしかしたらスティッチとおしゃべり出来るかもしれないというこの新アトラクション。
これから体験してこようと思います!」
横山が合図を送る。
カメラが翔を追うのをやめた。