第5章 Fantastic Version <双子2歳>
ふたりの元気な声に横山が二人から少し離れ中島に合図を送る。
歩き出す二人。
イメージショットを兼ねた撮影。
どっちかと言うと二人を慣れさせる目的の方が強い。
二人ともニコニコしてなにかを喋りながら中島の方に一直線で歩く。
中島の所にたどり着くと何かを中島から言われている。
小さく頷くと二人は繋いだ手を一瞬離し、一人一人ゆっくりとターンをする。
その様子を見ながら横山が耳打ちする。
「翔くん、今回はあれだけだから安心して。
実際使うのは二人が着てるTシャツメインだから。
声もナレーションかスタジオの音声で消す。
ただ、二人が翔くんの子どもだって言うのを名前は出さないけど伝えるのは許して欲しいんやけど…。
最初の話と変わっちゃって…すまんなあ…」
「その辺は気にしなくていいよ。
二人を出すって決めた時点で隠せないし」
吹っ切った顔で横山に言う翔。
にやりと笑って横山がディレクターとして指示を出す。
「ほんなら、一緒に撮すぞ」
「あぁ、どうしたらいい?」
「二人の事、呼んだって?それだけでいい。
あとは双子が来たら受け止めてやって」
「了解!ディレクター殿」
翔はすこし茶化して返事した。
「ふたりとも戻っておいで!」
翔が二人に声をかける。
智と和也は笑いながら父親のもとに駆け寄った。