第5章 Fantastic Version <双子2歳>
ベルトが外されたのを見てベビーカーから降りる二人。
「あっ待って」
歩き出そうとする二人に翔がすこし焦ったように声をかける。
ん?って顔で翔を見る智と和也。
「ふたりとも、ポップコーンバケツ、頂戴。
あんよするのに、邪魔だろ?
ほら、持ってあげるから、ちょーだい。
お仕事の邪魔になるよ?」
いつもなら渋って大変なのに今日は『お仕事』の一言で素直にバケツを差し出す。
「すごいね、『お仕事』パワー」
それを見た雅紀は笑いながら呟いた。
翔から2つのポップコーンバケツを受け取った潤はバケツをベビーカーのハンドルに引っかけながら双子に声をかける。
「かずもさともお仕事頑張って」
その声に満面の笑みで頷くふたり。
「お、ええ笑顔やん」
見ていた横山の声。
横山がふたりの側にきて目線を下げて言う。
「和くん、智くん、あそこに薮と中島がいるのわかる?」
少し離れたところでカメラを構える薮とその横にいる中島を指差す。
「ん、わかるー!ね?さーと?」
「ん、ゆーとこーた、いる!」
「ふたりともお手々繋いで仲良く、中島たちのところにいける?」
「ん、できるー」
ふたりは声を揃えて言った。