第5章 Fantastic Version <双子2歳>
「ゆー、たかい!たかい!」
キャッキャと笑い声をあげている智。
ふと中島が和也を見る。
「かずくんも抱っこしようか?」
破顔一笑ってこう言うことを言うんだろうなぁ。
和也の顔を見て翔は思った。
自分が与えたものじゃないことに僅かな嫉妬を感じなくは無いが…子どもたちが他人の愛情を注がれてる証拠だと思うと嬉しさの方が勝った。
中島は智と和也を片腕ずつに抱いて二人に新たな世界を見せる。
若いとはいえそろそろキツいだろうと思って翔が声をかけようとすると智と和也の声がした。
「じゅんくーん、こっちよ」
「まーくんここ、ゆーと、だっこなの」
声だけでもニコニコなのがわかるほどご機嫌な二人。
「さと?中島さんにずっと抱っこして貰ったの?中島さん重くて大変だよ?」
潤が中島に申し訳無さそうな顔をして言う。
「すみません、重かったですよね?」
潤が智を受けとりながら中島言う。
「全然ですよ?
普段持たされてるものの方が何倍も重いんで。
横山さん、人使い荒いから」
潤に抱かれる智の頭を撫でながら言う。
和也も既に雅紀が受け取り今はベビーカーに大人しく乗っている。
「ゆー?ありあと」
頭を撫でる中島に智が言う。
「どういたしまして、さとくん、また遊ぼうね?」
中島の言葉に頷く智。
そこに横山から声が掛かる。
「ほな、次のとこ、移動しよ?」