第5章 Fantastic Version <双子2歳>
「潤、どういうこと?」
翔が潤のいう『一緒』の真意が取れないまま聞く。
「あのね?俺たちもTシャツ貰ったの」
と見ていた雅紀が兄に説明する。
「ほら、これ」
潤の手にはミッキーマウスが描かれたビニール袋。
中には緑と紫のTシャツ。
「雅紀はさ、グーフィーだからまだいいだろうけど…。
俺のデイジーダックだから…。
流石に抵抗があって…」
紫が好きな潤は反射的に選んだんだろうなぁ。
そのモヤモヤがわかる翔は納得と同情とそして仲間を得る喜びを込めて潤を見た。
そして、視線を腕の中の智に向ける。
「智、良かったね?
潤が智と一緒がいいって」
結局、雅紀もTシャツを着ることになり二人して翔が着替えに使った企業ラウンジに入っていった。
二人が着替えにいってる間に軽い打ち合わせをする翔。
「あんな、双子たち翔くんのこと、名前で呼ぶやん?
それ、逆手に取ろうと思うんやけど…」
横山の言葉にその意図を聞く翔。
「今回はな、双子を普通の子役として番組的には扱おうと思うねん。
名前もテロップ出ししないし、このアパレル用な。
でも、ワンシーンでも撮しとけばこのあとのアトラクションとかも問題なく連れていけるやろ?
番組的には双子のシーンはアパレル紹介以外は全カットや」