第5章 Fantastic Version <双子2歳>
「ゆーとがどーじょって」
和也が報告する。
「え?『ゆーと』って?」
翔がイマイチわからないと言う顔で雅紀と潤を見る。
「ADさん?あの中島さんってスタッフさんが『二人に着せて』って」
潤が翔の疑問に答えるように言う。
「あぁ、ゆーとって中島くんのことね」
中島のフルネームを思い出してようゆく合点が行く。
「中島くんがくれたの?」
「ん、ぱぱといっしょ~」
智が翔のサファリシャツの中を見てニコニコしながら言う。
「ええ?お揃い?」
改めてみると確かに自分のTシャツと同じシリーズなのが分かる。
「そっかぁ。なんかの罰ゲームかと思ったよ」
ようやく合点がいったと言う顔の翔。
「しゃと、どなしゃん」
ドナルドダックの絵を引っ張ってどや顔の智。
「かず、みっきーしゃん!
しょーちゃ、みにーしゃんね?
なかよしね?」
翔と対になることを喜ぶ和也。
それを見て泣きそうな顔の智。
「しゃと、しょーちゃといっしょ…ない…」
ヤバイと言う顔で目線を交差させる大人たち。
潤が覚悟を決めた顔で智に話しかける。
「さーとーし?潤くんと一緒じゃ嫌か?」
ふるふると、首を振る智。
そのしぐさが可愛くて翔は思わず智を抱き上げた。