第5章 Fantastic Version <双子2歳>
この後も取材が続くことを考えると…躊躇いもある。
が…濡れたままで動くのもまた、おかしい。
意を決してその長い脚を通した。
「こういうのは雅紀の方が圧倒的に似合うんだけどなぁ」
つい恨み言のような一言が出てしまう。
その後に手にしたTシャツを見たときの翔の顔は…周りに人が居なくてよかったと思うほど凹んでいた。
「さらに…これ?」
手にしていたのは赤い地色にミニーマウスの絵がが前身頃全面を被うTシャツだった。
もう、どうにでもなれ!
半ば自棄になって袖を通す。
一つ、救いだったのはカーキ色の半袖のサファリシャツが入っていたこと。
Tシャツの上に羽織るとそこまで目立たなくなった。
革のビーチサンダルを履いた翔。
濡れた衣類を手早く纏めて、入口に向かう。
「すみません、お待たせしました。
あの、お借りしたタオルは…」
「こちらでお預かりします」
キャストはにこやかに受け取ると一旦下がり、直ぐに出てきて翔を外に案内した。
外に出ると…そこにはテレビ日本のクルーと共に智たちがいた。
「ぱぱ~」
智と和也が口々にいいながら翔の足元に飛び付く。
横山が構わないよって顔で翔をみる。
しゃがんで二人を抱き締める翔。
抱き締めてふと気がつく。
「あれ?二人ともお着替えした?」
よく見ると智はブルーの、和也はイエローのTシャツを着ている。