第5章 Fantastic Version <双子2歳>
通された場所は所謂、企業ラウンジと呼ばれる場所だった。
「あの…ここ」
翔が戸惑うように言うと案内してきたキャストは笑顔で答える。
「こちらは以前は企業ラウンジとして使われていたんですが今はプレス対応用に使われていますので気になさらないでください。
あちらにタオルと更衣用のスペースを設けてますのでご利用ください。
入口にいますので何かありましたら声をかけてください」
そう言うとキャストは入口の方に歩き出す。
「ありがとうございます!」
翔はよく通る声で言うと更衣スペースに着替えを持って入っていく。
まさに、全身ずぶ濡れ。
頭の先から爪先まで見事に水浸しといった状態よ翔。
横山から渡された袋の中には下着から洋服一式、サンダルまで入っていた。
山のように積まれているタオルを1枚取り、濡れた体をを拭う。
新しい下着を身につけ、パンツを手に取る。
用意されていたのはクリーム色のハーフパンツ。
「マジか…」
思わず出る一言。
ハーフパンツを手にしたまま暫く動きがとまる。
バラエティにも引っ張りだこの翔だが、本来は報道志望。
なので普段着るものはスーツかカジュアルの時でも出来るだけきれい目のものを着るようにしている。
故に…暑くてもフルレングスのパンツを穿いている。
まさかのハーフパンツ。
しかし選択の余地がないので穿くしかない。