第5章 Fantastic Version <双子2歳>
薮が一瞬、中島を映す。
また直ぐにカメラは翔を映した。
髪の毛をかき上げ、オールバックという珍しい髪型のまま中継は続く。
『櫻井さん、このあとは?』
小山の振りに、翔が答える。
「はい、このあと、新しいアトラクションやリニューアルした夜のパレード、エレクトリカルパレード・ドリームライトの取材をして明日、スタジオで皆様にご案内したいと思ってます」
『それは楽しみです。
あ、櫻井さん、くれぐれも風邪はひかないでくださいね!』
「はーい、気をつけます。明日はスタジオに戻りますのでよろしくお願いします」
軽く会釈し、手を振る翔。
そのまま中継が終わった。
中島の合図で中継終了を確認した翔。
マイクを中島に渡し、スタッフエリアに向けて歩き出す。
スタッフエリアにいる横山が翔にビニール袋を差し出す。
「ほれ、これ、着替えな?キャストさんが、着替え場所貸してくれるから付いていって」
「ありがとう、とりあえず着替えてくる。
智と和は大丈夫?」
まだ、雅紀と潤に抱かれてた双子が翔に手を伸ばす。
「しょーちゃ、びちょびちょよ?」
和が翔の髪の毛に触れる。
「しょーちゃ、だーじょーぶ?」
智は翔の頬にその小さい手を当てる。
「うん、大丈夫だよ。
二人ともありがとう。
パパお着替えしてくるから待ってて」
そう言って待っててくれたキャストについて歩き出した。