第5章 Fantastic Version <双子2歳>
「智も和も優しいね?翔さんは大丈夫だよ。
あれも翔さんのお仕事だしね?」
「おちごと~?」
智が潤の顔を見て言う。
そんな智に潤は頷く。
和也に雅紀が伝える。
「そう、お仕事。
翔兄のお仕事はたくさんの人に色々なことを伝えるの。
だからね、ああやってイベントに参加して伝えるのも大事なんだよ?」
「おしごと、だいじね?」
和也が和也なりの理解を伝えると雅紀も頷いて、その頭を撫でた。
イベントはもう、終盤で最後に大きな放水があり、フロートはそれぞれパレードルートに戻って行った。
大規模な放水が終わり、観客が会場を出ようとしているなか、スタッフからイベントグッズのタオルとマイクを渡された翔。
イヤーモニターを急いで耳につけながらスタジオとの中継に入った。
小山の声が耳に届く。
『途中から中継を繋いでましたが…すごい迫力でしたね?』
「はい、この通りすっかりびしょ濡れです」
『やっぱり、レインコートは渡さなかったんですか?うちのスタッフ』
「ええ、予想通り、渡してもらえませんでした。
ちなみにレインコートを着ていると…あのように濡れません」
笑顔の翔の指差す先にはADの中島がいた。