第5章 Fantastic Version <双子2歳>
『櫻井さん、すごく楽しそうなイベントてすね?』
スタジオから小山が話しかける。
「はい、本当に楽しそうで多くのお客様が今か今かと待ち構えている状態です。
この中央鑑賞エリアは抽選になっています。
ただ万が一外れてしまっても外側から観賞も可能ですよ」
『櫻井さん、そのイベントの様子は?』
「はい、このあと、こちらからお伝えしますよ」
『それは楽しみです。櫻井さん、まさかレインコートは着ないですよね?』
スタジオで小山がにやりと笑ってる表情が見える気がした翔。
「どうでしょう?
出来れば着たいですが…。
うちのスタッフさんたちが用意してくれているかは今のところ不明です」
『用意されていることを祈ります。
でも、櫻井さんならずぶ濡れでもまさに<水も滴るいい男>ってことで問題ない気がしますよ?』
からかうような小山の口調。
「私としては出来れば勘弁して欲しいんですが…」
『その辺も含めて…このあとも是あ非ご覧ください』
中島の合図で中継が終わる。
マイクを一旦、中島に預けると、翔が中継スタッフ用のエリアに走り寄ってきた。
「おつかれさん」
横山が声をかける。
「うん、あと1回、よろしくね?」
翔は答えながら双子に近づいた。