第5章 Fantastic Version <双子2歳>
時計が15時を少し過ぎたころ、スタジオと回線が繋がった。
「櫻井さーん」
耳に着けてるモニターからスタジオの小山の声が聞こえる。
「はい、ディズニーランドの櫻井です。
私は今、シンデレラ城前のキャッスルフォアコートと呼ばれる場所にいます。
このあと、夏のイベント≪雅涼群舞≫が始まります。
このイベントはパレードルートを2台のフロートがパレードしながら場所によっては水を使ったサプライズもあるそうです。
夏らしい水を使った楽しいイベントになっています。
パレードのメインはこのキャッスルフォアコートで行われます。
ミッキーやドナルドダックがチームを作ってダンス対決をするそうです」
翔が流暢にレポートする。
少し離れた中継用の待機場所では智と和也が食い入るようにそんな翔の姿と小さなモニターに映る翔の姿を交互にみつめる。
音声は小さいながらもモニターから聞こえるので翔の喋っている内容はわかる。
目の前にいる父親がモニターに映っているのが不思議で仕方ない様子の双子。
それでも静かに父親の姿を見つめていた。
その二人の様子を暖かい眼差しで見守る雅紀と潤。
中継はまだ続いている。