第5章 Fantastic Version <双子2歳>
「ぱぱ~しゅごい~!」
智はにこにこしながら手を叩いてる。
働く父親の姿に目を輝かせている。
「ぱぱ、あっこからでたの?」
和也が不思議そうな顔でモニターを指す。
「あはははは、違うよ、和。
パパ、ずっとあそこにいたよ?」
と中継ポイントを指差して翔がやさしく教える。
「これはね、あそこのお兄さんが持ってるカメラで撮ったものが映ってるんだよ。
お写真と一緒だよ」
「おしゃしん?」
「そう、動くお写真」
そう言って翔は二人の子どもたちを視る。
「ね?このあと、お水バチャが来るけど二人とも大丈夫?」
「かず、へーきなの」
「しゃと、がんばゆの!」
「そっか。じゃ、パパも頑張るから見てて」
そう言うと目線を横山たちに向ける。
「双子たち、迷惑かけてない?」
「いや、全く」
横山が言う。
「二人とも恐ろしいぐらいの集中力で翔兄のこと見てたよ」
「うん、一言も発さずモニターから流れる音声を聞きながらずっと翔さんとモニターに映る翔さんを見てたよ」
雅紀と潤が言うのを聞いて照れくさいような誇らしいような気持ちの翔。
周りになにやら音楽が聴こえてきて、始まりを告げる放送が流れたのをきっかけに「頑張ってくる」と一言残して、中継ポイントに戻って行った。