第5章 Fantastic Version <双子2歳>
「どうも、なんか人、集まってきた感じやから、ちょい、移動せーへん?」
何度か会ったことがある大人たち。
横山の提案に頷き、後をついていく。
「そこな、もう場所確保してるから。翔くんの次の中継までまだ時間があるから、見学するにせよなんにせよ、とりあえず、な?」
中には既に翔や局スタッフがいた。
ベビーカーから出した智と和也をそれぞれ抱っこした潤と雅紀。
翔の顔を見た途端、謝りだした二人。
それをみて智と和也も謝りだす。
「ぱぱ、めんしゃい」
「しょーちゃん、ごめんなしゃい」
それを見て中島が顔を蕩けさせながら「かわいい、可愛すぎる」と大声で言った。
その一言でなんとなく気まずい空気が一変する。
「ふたりとも?大丈夫だよ。パパのお仕事の応援してくれてありがとう」
翔が笑いながら言う。
「あのさ、智と和に話があるんだ。あっ雅紀たちの意見も聞きたい」
「それってメールで書いてたやつ?」
雅紀が翔に問いかける。
「そう。ふたりともさ、パパの会社の人がね、ふたりにパパのお仕事を手伝ってほしいって言ってるんだけど…どう思う?」
智と和也に問いかけつつ、雅紀と潤にも聞いている翔。
静かに答えを待つ。