第5章 Fantastic Version <双子2歳>
「はい、こちらディズニーランドの櫻井です。
夏のイベントの初日の今日は天気はご覧のようにすこし残念な空模様ですが、来園される皆さんの顔はイベントへの期待が見てとれます。
このあと現地よりディズニーランドの暑い夏をお伝えします!
お楽しみに!」
横山からのサインで1回目の中継が終わった。
丁度、中継が終わったタイミングで雅紀から到着の連絡が入った。
それを横山に伝えると待ち合わせ場所を決める。
メールしてその場を離れようとしたときに「ぱぱー」と言う子どもの声が聞こえた。
振り返るとベビーカーに乗せられた智と和也だった。
「横山さん、あれって…」
中島がベビーカーに視線を固定させたまま隣の横山に声をかける。
「あぁ。そうや。さっき話してた双子や」
「ぱぱー」
「まーくん、おりゆ」
「しゃとも、おりゆ」
二人ともベビーカーから降ろせと雅紀と潤にすごい勢いで主張する。
「おーんーりー」
「ぱぱ、あっこ!」
大好きなパパに会えたのにそばに行けずに駄々を捏ねる二人。
雅紀と潤がベビーカーの横にしゃがみ込み目線を二人に合わせて話す。
「智?翔さんは今、お仕事中なの。だからお邪魔しちゃいけないの。」
「和も分かるよね?翔ちゃんのお仕事の人、みんな困ってるよ?」