第5章 Fantastic Version <双子2歳>
横山の指示で席を離れた中島。
目で見送りながら横山が翔に聞く。
「今日さ、イベントと新アトラクション以外に夜のパレードも取材予定やけど何時頃まで大丈夫そう?」
「俺は何時でも構わないけど」
「ちゃうわ、双子や。明日、保育園は?」
「潤か雅紀が明日、休みだから智と和がそうしたいなら多少遅くても平気だって言ってた気がする。
だから時間的な意味なら、子どもたちの電池切れまで大丈夫だよ。
俺は閉園まで大丈夫」
「よし、そうと決まれば、翔くん、双子と合流前にもうひとつ、撮り、いきたいんやけど。
いける?」
「もちろんです、プロデューサー殿」
「あほ、俺はディレクターや!」
「んなこと、知ってるよ。
ってかさ、プロデューサーにならないの?」
「んー今はディレクターで現場にいる方がええな。
もう少し上のうっさいおっさん達が居なくなったら考えてやってもええかな?」
上から目線で答える横山。
プロデューサーとして番組全体を統括するのは制作者としてはやはり目標だか…。
今の局内のプロデューサー陣とあまり相性の良くない横山。
はっきりしてる分、ぶつかることも多い。
熱い人情家だが、理解している人間は少ない。
でも…彼のことを知ると面倒を見ずにいられないようで…。