第5章 Fantastic Version <双子2歳>
「相談?なに?」
「いやさ、最終的には翔くんの意思を尊重したいんやけど…」
いやに歯切れの悪い横山。
その口調でなんとなく言いたいことが分かった翔。
「智たち?」
「うん。うちの番組限定で…だめかな?
なんつーかその…思い出作り?」
「言わんとすることは分かるんだけどさ…正直、怖いんだよ、俺。
俺がこういう仕事してるからさ、そこに子どもたちが加わってなにかされたらって思うとさ…」
「翔くんの気持ちもわかる。
だから正直、おれも何が正解かわかんないよ。
けどさ…逆に皆で見守れるかなって」
言いながらも語尾が弱い、横山。
翔の懸念が十分に理解出来るからだ。
「あんな、変なこと聞くんやけど、あの二人よぅスカウトされん?」
「お前、ほんとよく知ってるな。
ある意味感心するよ。
確かによく声かけられるよ。
でもそれって双子だからじゃないの?」
「翔くん、報道の人なのに、にぶちんやなぁ。
あの二人、業界ではすでに、かなり知れ渡ってるで」
「んなわけないじゃん。
どこにでもいる双子の男の子だろ?
しかも、二卵性の」
「あんな、翔くん、家族やから鈍くなってるんかも知れんけど…。
お前んち、相当なイケメン家族やで?」