第5章 Fantastic Version <双子2歳>
「うちの、子どもたちの名前だよ。
智と和也、2歳の双子なの。
雅紀は俺の弟」
翔が中島に説明する。
「これがさ、えらいかわいい双子なん」
横山が口を挟む。
「櫻井さんって結婚してたんですか?」
「いや、してないよ?」
「え?でもお子さんって…」
混乱している中島。
「お前知らんの?
翔くんさ、亡くなった妹さんの子ども引き取って育ててるの。
局内でもかなり有名だよ。
しかも、双子がかなり可愛いからアナウンス部の東山部長がぞっこんてだって」
「横、誇張しすぎだよ。それ」
翔が横山に抗議するが聞く耳を持たない横山。
「僕、そういうのかなり疎いみたいで」
恥ずかしそうに言う中島に翔が言う。
「気にしなくていいよ。
ってか横が色々詳しすぎるんだよ」
「そんなことないって」
横山が否定する横で中島が呟く。
「そんなに、カワイイなら会ってみたいなぁ」
「会えばええやん、あとで来るし。
合流するし」
「マジですか?いいんですか?
すっげー楽しみ!」
興奮して素に戻ってる中島。
その辺はまだ20代前半男子そのものだった。
「んでさ、翔くん、相談なんやけど…」
横山の声に真剣な色が混じる。