第4章 BOYS LIFE <双子2歳>
「確かに…ある意味貴重な体験です」
笑いながら翔が言う。
教室では先生たちがなん組かに別れて作業をしている。
子どもたちに絵本を読む先生。
このあとの給食の準備を始める先生。
一つのチームとして組織的に動いている職員の姿を見れるのも保育参観の利点のひとつなんだと思う。
「保育士ってさ子どもの面倒をみるだけだと思ってたけど…全然違うんだね」
雅紀が感心したように言う。
「確かに…。
でもそれって医者もおんなじじゃない?
普通、診察するだけって思われがちじゃん?」
翔が言う。
「まぁね、確かにそうかも」
「どんな仕事もさ、見えてるのは一部だけで実際は深いんだよね?
翔さんだってそうじゃん?」
しばらくして、すず先生が廊下の大人たちに声をかけた。
「まもなく給食の時間なので宜しければ中で見学してください」
クラスに入ると小さなテーブルが並べられている。
「みーなーさん」
まゆ先生の呼び掛けに子どもたちが応える。
「お昼の時間です、お席につきましょう!
まずは女の子、どーぞ」
先生の声に女の子たちが動き出す。
翔達がいる辺りに来ると口々に声を掛けてくる。
女の子は小さくても女の子なんだと翔は思った。