第4章 BOYS LIFE <双子2歳>
途中まで来たところで歩みを止めた和也。
「かじゅー、がっばれ」
突然、智の大きい声がホールに響く。
その声に反応した和也。
キッと前を見据え、再び歩き始めた。
最後まで渡りきると先生に手を添えられて平均台を降りる。
拍手するクラスメイトをそっちのけで智のもとに走り寄りそのままハグする。
「さと、ありがと」
「かじゅ、しゅごい!」
出来上がる二人の世界。
ほかの子どもたちは当たり前のようにそこに触らない。
翔も雅紀も潤もどうしていいか分からずそのまま見ていた。
すぐに離れた智と和也。
何でもなかったようにそのまま体操教室に参加する。
「ねえ、あれって…」雅紀が呟き、潤も「うん、まぁ、仲良しってこと?」と複雑な表情。
ひなママは「ほんと、仲良し。微笑ましいわ」と笑う。
翔も「まぁ、仲が悪いよりはいいよな」と無理矢理納得する。
平均台ひとつでも個性が出るようで、智はなんの迷いもなくサクサクと進んでた。
乗ること自体を拒否する子、途中で諦めちゃう子…色々で保育園のクラスの中は一つの小さな社会だと見ていて思った翔だった。
30分のカリキュラムはあっという間に終わり、ホールからクラスに戻る。
再び廊下に立つ大人たち。
「こんなに廊下に立つことなんてなかなかないですよね」
ひなママが言う。