第4章 BOYS LIFE <双子2歳>
ホールは行事や幼児クラスがお昼を食べる場所だと聞いた。
階段を登る子どもたちの足取りの確かさに成長がみえる。
そうだ、階段の登り降りなんて教えた記憶がない。
気がついたら昇ってた気がしてるがそうじゃない。
日々の生活の中で子どもたちが保育士をはじめとする多くの大人のそしてお友だちのアシストや影響を受けて、出来ることが増えてるんだ。
普段、日々をこなすことに夢中で、こういう小さいことを見落としてしまう。
保育参観って日々の子どもたちの生活を見るためのものだと思ってたけど…実は見落としてることを確認するためのものかもしれないと思った翔。
雅紀や潤の顔をちらりとみる。
二人と目があって…なんか共有した気がした翔だった。
体操教室はまだ、小さい子たち向けなだけあってなんとも緩い感じ。
低い低い平均台を歩く。
大人からしたらただそれだけのこと。
それでも友だちの姿を純粋に応援する子どもたちはすごく貴いものに思える。
渡り終われば拍手。
すごくいい雰囲気の空間に大人たちも同じように拍手する。
「あっ和の番だ」
雅紀の呟きに反応した翔と潤。
和也が平均台の上を慎重に渡る。
どちらかと言えば度胸のある和也。
それでもこの手のものが苦手なのか歩みは普段以上に慎重だった。