第4章 BOYS LIFE <双子2歳>
「うん?あぁ、明日の話」
聞かれて潤が答える。
「あ、参観?」
「そう。参観の話。やっぱりまだこれぐらいの子だと参観後に泣いちゃうみたい」
「しゃと、えーんないもん」
「かずもないもん」
翔の【泣いちゃう】というフレーズに反応した二人。
「そうだよね?ふたりともお兄さんだから泣かないよね?」
うんうんと頷きながら雅紀が言う。
それにやはりうんうんと頷く双子。
「じゃあ、まーくんも見に行こうかな?お兄さんなふたりのこと」
「ほんと?」と和也。
「まーくん、くる?」と智。
「うん、明日、まーくん、お仕事おやすみだしね?」
「やったー」と喜ぶ双子に翔と潤から声が掛かる。
「智、ミッキーさん、残ってるよ」
翔が智の皿を見ながら言う。
途端に下唇をぴゅっと出して拗ねた顔をする智。
「智、お兄さんなんでしょ?
お兄さんはちゃんと食べないとね?」
翔は促すが智も頑固である、首を振って拒否する。
「おしまいする」
「えー、しないよ、じゃパパがあーんしてあげるから」
一瞬表情が揺れた智。
翔はもうひと押しする。
お箸で小さく切り分け智の口元に持っていく。
「ほら、智くん?あーん」
大好きな父親からの提案を拒みきれない智は口を開ける。
「あーん」
「ね?おいしいでしょ?あと3口、ね?」
「3?」
「そう、3回」
皿に残るおかずの量を目算して言う。
「ん、3ね?」
そう言ってきっちり3口だけ食べてごちそうさまをした智。