第16章 ・【外伝】8番奮闘す
「まさかどさくさに紛れて文緒にセクハラしたんか。」
「違いますっ、キャッチした後勢いあまってその」
まずい牛島さんに今度こそぬっ殺される。焦る五色だったが
「確かに文緒はあまり筋肉がついていない、柔らかい部分があるのは否めないな。」
当の義兄殿はここでもど天然を発揮した。
「呑気かっ。」
瀬見が突っ込む。
「事実だ。」
「及川とかが触ろうとしたらわあわあ言うくせに。」
「騒ぎ立てた覚えはない。」
「似たよーなもんだろがっ。」
「それに五色の場合は事故だ。胡乱な奴が触ろうとしたのは話が違う。」
「だとよ工、良かったな。」
「あざっす。」
五色はほっと胸をなで下ろす。
「いや礼を言うのはこっちの方だ。文緒の事で手間をかけたな。」
「俺クラスメイトなのでっ。」
「すまんが俺や瀬見の目が届かない時は文緒を頼む。」
「はいっ。」
という訳でこの辺は収まった。
「ちっ、ツマンネーの。」
「流石にタチわりーぞ天童。」
「隼人君まで堅いなぁ。」
「そーゆー問題じゃねーわ。」
「天童と若利と工の面倒のとこへ文緒さんの心配まで加わると少々骨だな。」
「大平さんまで文緒さんの心配しなくても良いのでは。」
「そういうけどね太一、若利とセットだから。」
「確かにそうっすね。で、賢二郎はどしたの。」
「工があの嫁の面倒を見るだなんて。元々逆なのに。」
「いんでない、相互補助。」
「それっぽく言ってまとめようとするなよ、太一。」
他が好き勝手言っているその頃、牛島文緒本人は文芸部にて一生懸命作品の案を練っていたという。