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【ハイキュー】ウシワカイモウト第二部

第13章 ・おでかけします その7


しかし結局兄妹は気づかないままに食事をしつつ会話をしていた。

「足りるのか。」
「充分です。あまり食べられないたちですし。」
「そうか。」
「むしろ兄様は。」
「案ずるな、自分で把握している。」
「申し訳ありません、愚問でした。」
「気にする必要はない。」
「食べるで思い出したのですが」
「どうした。」
「その、五色君が度々お昼を食べ過ぎているようですね。」
「ああ。どういう訳か知らないが。」
「そんな事じゃないかと思った。」
「何か言ったか。」
「いいえ兄様。」
「ところでそれがどうした。」
「やっちゃった事はもう仕方ないと思います。」
「そうだな。」
「ただ不思議なのは先日五色君がお昼から戻ってきた時に天童さんもいらっしゃいまして」
「瀬見ならわかるが天童か。」
「珍しいですよね。そしたら天童さんが工が食べ過ぎちゃわないように文緒ちゃんから言ってやってとおっしゃるんです。」
「不思議な話だ。」
「ええ、私もそう思ったんですが同じ話を文芸部のみんなにしたら何と言ったと思います。」
「わからない。」

呟く若利に文緒はきゅっとスプーンを強く握りなおした。事を思い出して何となく顔が熱くなる。

「クラスでは私が五色君のお世話係りと思っていたと。」

相手は若利だ、吹き出す事はまずない。これが瀬見や山形あたりなら笑い出してもう少し話は盛り上がっただろう。しかしはたから見ればともかく当人らは盛り上がっているつもりである。

「お前の方が後から来たのに不思議な話だ。」
「本当に。後でわかったのですがクラスの皆も大方似た認識でした。」
「今考えたのだが」
「何でしょう。」
「お前は余程でない限り人を突き放さない。そう思われてもおかしくはない。」
「そうでしょうか。」
「五色も何かとお前を気にかけているが、逆にお前も五色を気にかけているからではないか。」
「深く考えた事がありませんでした。」
「それがお前の美徳だ。」

若利は呟いた。
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