第12章 ・おでかけします その6
「そいつぁ驚きだな。」
「ウシワカちゃんがバレー以外のとこで進化してるなんて、いやぁ文緒ちゃんすごいねえ。」
「私は何もしてません。」
「愛って偉大だねえ。」
「まあ、流されるなんて何て事。」
文緒は呟くが及川はにっと笑ってごまかし岩泉がだけどよと声を上げた。
「ひでえ選択だな、こいつがつけたらまるっきり首輪じゃねーか。」
「それか迷子札だね。」
好き勝手言う幼馴染コンビに若利は眉根を寄せる。
「チームの連中からも言われた。」
「やっぱり言われてんじゃんっ。」
「何故言われるのかがわからない。」
「せめてこいつに似合うか似合わないかくらいは考慮しやがれ。」
「ね、ミリタリー系ロリじゃないのにね。」
「私の名前はロリータではありません。」
「何って。」
「ロリータの元はアメリカ文学の登場人物らしい。」
「ウシワカちゃんて文学語るキャラだっけ。」
「文緒がやる。おかげで俺は色々学ぶ事が多い。」
「文緒ちゃんやっぱすごいねえ。」
「待て何かおかしい。」
話がそれかけている所へ岩泉が言う。
「おい嫁、話聞いてる限りまさかお前普段からそれつけてんのか。」
聞かれた文緒は顔を赤くして頷き勿論幼馴染コンビはマジかと固まる。おまけに
「胡乱な奴が多いのでな。」
若利がフォローなのかなんなのかわからない発言をしたのでまた話がややこしくなった。
「何で俺を見るのさ。」
「俺のいる前で文緒に触れようとしただろう。出来るなら八つ裂きにしたい心境だ。」
「わあ怖ーい。つかケチ。」
「何を言っているかわからない。」
「別に文緒ちゃんは減るもんじゃないのに触るなとかケチ。」
「気を遣った分文緒の精神がすり減る。」
「ウシワカに上手い事言われた、腹立つっ。」
「事実だ。」
「尚の事腹立つっ。」
「落ち着け及川それと話戻して牛島、おめーは溺愛もほどほどにしろ。」
「行きの電車でもちょっかいをかけてきた馬鹿者がいた。油断は出来ない。」
これはひどい。とうとうたまりかねた文緒は言った。