第12章 ・おでかけします その6
という訳でごつい野郎共3人と実年齢不明の1人は博物館から出てしばし一緒に歩いていた。
「まだついてくるつもりか。」
「しつれーな、俺ストーカーじゃないし。」
「さっきまでやってた事は何だ。」
「岩ちゃんだって同罪じゃん。」
「俺はおめーの監視だ、つか巻き込まれたから寧(むし)ろ被害者だこのボゲが。」
「何て扱いっ。文緒ちゃん、おにーちゃんと岩ちゃんが酷いんだけどっ。」
及川は命知らずにも文緒に抱きつこうとし油断していた文緒はあわやというところで義兄に引っ張られて難を逃れる。
「文緒に触れるな。」
「じょーだんだってばぁ、もう。それくらいのユーモアも理解しなよ。」
「目が結構マジだったろが。」
「ちょっと岩ちゃん。」
野郎共がわあわあやっている中文緒は困惑する。
「その、さっきからお聞きしているとつまりお2人はついてこられたのですか。」
「元々買いもんでこっち寄っただけなんだけどよ、そこのクソ川がお前ら見つけてついて行きやがって。」
「何て事、岩泉さんもお大変そうですね。」
「わかるか。」
「何なの文緒ちゃんまで俺を面倒臭いとか言うの。」
違うつもりだったのかと文緒は言いたいところだがそれより義兄が上着のポケットをゴソゴソしている方が気になる。
「兄様それは」
嫌な予感が当たったようである。取り出されたのは例のペンダントで文緒は内心動揺した。
「今日くらいは外せと瀬見さんに言われたのでは。」
「そのつもりだったがこうなっては仕方がない。」
「はたして仕方がないのでしょうか。」
「俺はそう判断する。」
言って若利は若干強引にペンダントを文緒の首にかけてしまう。
「おい待て。」
岩泉が口を挟んだ。
「何だそのごついのは。」
IDタグに似たペンダントは岩泉ですら突っ込むくらい文緒が今着ている服には合っていない。
「兄の贈り物です。もう少し正確に言うと母も関わってます。」
「ウシワカちゃんがプレゼントしたのっ。」
及川が飛び上がらんばかりに驚き岩泉も目を見開く。