第42章 ・雪うさぎと雪合戦
「ああああああ。」
次の瞬間には声を上げて両手で顔を覆う文緒、一方で天童はやはり面白がっていた。
「多分工が変だったのはそっちの方覚えてたからじゃないかなー。」
「兄様ったらもうっ。」
「相変わらず愛が溢れているねー。ま、今日も雪降ってるし若利君帰ったらちゃんとあっためてもらいなよー。」
「天童さんっ。」
流石にたまりかねて文緒はスカートのポケットにあったハンカチを天童に向かって投げ、天童はへらっと笑いながらそれをキャッチする。
「お、何々、勝負する。」
「表に出ていただきたい心境です。」
「心境じゃなくて出たらいいじゃん、受けて立つよー。」
「おっしゃいましたね。」
訳の分からない流れがきた。
そういう流れを経た結果、若利は窓から妙な光景を目にすることになる。
「あれは。」
窓から見えるグラウンド、たまたま一緒にいた瀬見がん、と呟く。
「天童と文緒か。何だ、雪合戦してんのか。」
「文緒が随分と活発だ。天童が鍛錬の為に連れ出してくれたのか。」
「いや待てよく見ろ絶対ちげぇ。」
「そうか。」
「どう見ても文緒が怒って天童に雪ぶん投げてるだろがっ、さては天童の野郎何か余計な事言ったな。おら行くぞ。」
「必要なのか。子供の喧嘩に親が出るといった事になりそうだが。」
「何となくお前の言動がかんでそうだからとにかく行くぞっ。」
「わかった。」