第42章 ・雪うさぎと雪合戦
白いグラウンドでは勢いがまったく足りていない雪玉を投げる文緒とへらへらとそれを躱(かわ)す天童がいる。
「あはは、文緒ちゃん全然当たんないよー。」
「まあ本当に何て方、どこまでもおちょくられるなんて。」
「短気は損気って知ってる、わぷっ。」
「隙ありっ。」
「チョチョッ、人がこけたとこ狙うとかっ。」
「当てられる機会を逃さないだけのことです。」
「このロリ。あっ、若利君に英太君。」
「コルァッ、天童ーっ。」
「英太君は速攻俺かよっ。」
「どうせお前がよけーな事言ったんだろがっ。」
「文緒、その辺りにしろ。」
「離してください若利兄様、天童さんがあんまりなんです。」
「天童の茶目っ気が過ぎるのはわかるがお前はお前で売られた喧嘩を買いすぎるきらいがある。」
「そもそも兄様が妙な事を皆さんに広めるからこんな事に。」
「何の話だ。」
「何て事。」
「とにかく戻るぞ。体を動かすのはいいが今日も冷える。」
「わかりましたから下ろしてください兄様。」
「若利、学校でまで文緒を持ち上げるなっ。」
「そうそうどうせ家であっためてあげるんでしょ、ちょ、英太君引っ張らないでっ。」
「天童はこれ以上油を注ぐなおらこっち来いっ。」
この顛末が目撃していた生徒から他の生徒へ伝わっていったのはもはや言うまでもあるまい。
次章に続く