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【ハイキュー】ウシワカイモウト第二部

第40章 ・義兄、遠征中の話 終わり


「ところでお前は食事を済ませたのか。」
「いいえ、兄様を待っておりました。」
「そうか。食事が終わったら部屋に来い。」
「はい、兄様。」

義妹は微笑み台所の方へ去っていく。若利は満足してそれを見届けると自分も自室へと向かった。


気づけばいつもどおり義兄のベッドの中で文緒がころんと転がっている。隣には若利が転がっていてきっちり片腕を義妹の方に回している。

「遠征中は充実されていたようで良かったです。」
「ああ。やはり選手のレベルが高い。見た事のない動きをする者もいていつも学びがある。」
「流石です。でもそこでどこから私の話になったのでしょう。」
「雰囲気が変わったと言われた。何かあったのかと聞かれたから妹を貰った話をしたらそこから広がった。」
「まあ何て事。」
「やはり溺愛していると言われたのだがどうしたことか。」
「もはや返す言葉が思いつきません、兄様。」
「お前の方も無事とはいえ妙な具合だったようだが。」
「知らない方にやたら話しかけられたのは確かにそうですがそれ以外の事でしたら心外です。」
「特に文芸部だ。気を配ってもらった事は感謝しているがついでにお前で遊んでいないか。」
「今更です。」
「何。」
「そんな顔をなさらずとも。ご存知の通り凄く良くしてもらってます。」
「化粧を施すのは余計だ。」
「似合いませんでしたか。私は気に入りました。もう一度教えてもらおうかと思っていたくらいです。」
「必要ない。ただでさえ人目を惹くのに何を塗る事がある。」
「お上手ですね兄様、他の子なら一発ですよ。」
「事実だ。同じ事を何度も言わせるな。」
「嬉しいです。」

文緒はぎゅっと若利に抱きつく。そういえばと若利が呟いた。

「今日は寝床に入れても抵抗がないな。」
「やっと兄様のお顔を見れたので嬉しくて。」
「そうか。」

若利の手が文緒の頭をポンポンとやる。文緒はふふと笑って若利の胸に顔を埋める。

「これからも度々家を空ける。」
「はい。」
「お前にはどうしても淋しい思いをさせるがどうか堪えてほしい。」
「承知しております、兄様。」
「そうか。」

文緒は頷きしかしだんだん眠気がこみ上げてくる。あ、と思った瞬間には意識を手放していて若利がごくごく微かに笑っていた事を知らない。
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