第40章 ・義兄、遠征中の話 終わり
翌日の朝、若利は学校のチームの仲間におかえりと迎えられていた。
「どうだった。」
「学びの多い日々だった。」
「そりゃ良かった。」
笑う大平、一方若利はしかしと付け加える。
「帰ったら危うく飯を抜かれる所だった。」
その場にいたチームの連中ほぼ全員が吹いた。吹かなかったのは言うまでなく白布である。
「って事はあれか、」
山形がヒクヒクしながら言う。
「遠征先で妹の事ベラベラ喋ったのマジか。」
「聞かれたから答えただけだ。」
「答えるのはまだいいけどよ、」
やな予感がすると言わんばかりに言うのは瀬見だ。
「まさかまだ嫁じゃないとか」
「言った。まるっきり嫁だと言われたのでな。」
「阿呆かーっ、そんなんだから文緒が大変な事になるんだろっ。」
「広がるとは思わなかった。しかし広範囲で騒ぐ程の事なのか。」
「他でもないお前の口から妹可愛いですいつか嫁にしますとか言われたらそら騒がれるわ馬鹿ヤロ。」
「世間の感覚はよくわからない。」
「わかんないのは牛島さんの感覚だと思います。」
呟く川西の横では天童がアヒャヒャヒャと笑っている。
「いやーたっのしみー、いつかテレビに出てさ夫婦でネタになるんじゃね。」
「地味にあり得そうなのがまた何とも。」
「天童も太一もこれ以上俺の心配の種を増やさないでくれ。」
大平が頭を抱える中五色がうーんと唸り白布にジロリと見られていた。
「また余計な想像してるのか。」
「いえ、牛島さんのああいう所が天然なんだなって。」
「お前が言うな。」
次章に続く