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【ハイキュー】ウシワカイモウト第二部

第39章 ・義兄、遠征中の話 その5


「まあ話は戻して、ですね。」

川西が言った。

「その話がどんだけ拡散してるか知りませんが文芸部に一声かけときましょう。あの人らは放課後大抵文緒さんと一緒だし他校の知らない奴がいきなり絡むかもしれないし。さて今回は何にしようかな。」
「最後にあの嫁への餌考えるな、太一。」
「いいじゃん。何ならまた賢二郎セレクト」
「今回は断る。」
「太一は工を甘やかすなっつっといて文緒ちゃんは甘やかすのねん。」
「状況が違うんで。」
「俺は大丈夫です、鍛錬になりますっ。」
「何でもいいけど声でけえ。」

山形がしかめっ面で片方の耳を塞いだところで大平がやれやれと首を横に振る。

「多分手遅れだけど後で若利に一言送っとくよ、あんまり文緒さんの事吹聴するなって。」

後で五色が他にこっそり語ったところによるとふうと息を吐く大平の背中は少しばかり老け込んで見えたという。


確かに手遅れだった。その日の放課後文緒はうーんと首を傾げながら歩いていた。文芸部の友にどうしたのかと尋ねられる。

「何か人目を感じた。」

友は辺りを見回して気のせいじゃないかと言う。文緒はそうかなとまた呟いて歩き続けたがやはり何か落ち着かない。そしてそれは程なく気のせいではないとわかった。声をかけられたのだ、それも知らない他校の女子生徒に。複数でよってきた彼女らの1人から早速牛島文緒ってアンタと聞かれた。

「どちら様ですか。」

相手が年上か同い年かはたまた年下か判断しかねて文緒は用心しつつ返す。向こうは顔を見合わせてクスクス笑い、文緒の横にいた友はいつでも戦闘に入れると言わんばかりに構えている。しばしクスクス笑っていた女子生徒達だが特に名乗ろうとしない。代わりに1人がごめん噂通りだったからとった。何かの予感がする。

「噂とは。」

首を傾げて尋ねると向こうは知らないのと言う。

「特に噂になる心当たりがないもので。」

一緒にいる友も眉をひそめる中、別の女子生徒が何事か言う。聞いた途端に文緒は飛び上がった。

「何て事っ。」
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