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【ハイキュー】ウシワカイモウト第二部

第5章 ・皇帝ペンギン


「結局の所アレか。」

目に浮かんだ涙を拭いながら瀬見が言った。

「文緒は雛か。」
「牛島さんの扱いがそれっぽいとこありますよね、未来の嫁だって主張を隠さない割には。」
「賢二郎どしたの、いつになくノリノリ。」
「今回は言い得て妙だと思ったので。」
「文緒はあんなにモフモフしてません、むしろガリガリです。」
「工はもっとものの例えという事を覚えような。」

野郎共は自分らの頭がいないのをいいことに言いたい放題だったがもう少し部室のドアの方に注視すべきだったかもしれない。

「どうした、騒がしいな。」

ガチャリというドアを開ける音と共に皇帝ペンギン、もとい若利本人がやってきた。野郎共は一瞬静まり返るがやはり笑いがなかなか止まらない。

「おはよ若利君、今日はちっと遅いね。」
「ああ。」
「雛のお世話してたんかと思ったよ。」
「何の話だ。」

首を傾げる若利にやはり笑いでヒクヒクしながら瀬見がバカよせと言わんばかりに天童を肘で小突く。しかし若利は何となく何かを察したらしい。

「文緒なら今朝寝ぼけて廊下を歩いている所を部屋に連れて行ったが。」

またも野郎共は吹いた。もうどうしようもがない。

「何でそんな事になったんだよ。」

瀬見が尋ねる。

「一度トイレに行って戻ろうとしていた。それはいいがちゃんと起きていないせいで足元がおぼつかなかった。危険だと思ったから連れて行って寝床に入れておいた。」
「つまりお前妹の部屋に入って妹抱っこして布団に入れちゃった訳。」
「寝ぼけて廊下で蹴躓(けつまず)いたり放置して冷えたりするのは良くないだろう。」
「そらそーだけどよ。」
「やっぱり雛のお世話じゃん。」
「俺達は鳥じゃない。」
「じゃあ何。」
「天童、お前とめどないのも程々にしろよ。」

しかし例によって若利は気にせず答える。

「俺はともかく文緒は例えるなら縞栗鼠といったところか。」
「限定的だな、おい。」
「小柄でよく動く。」
「若利の癖にうまい事言ってる。」
「面倒くせぇ。」

とうとう若利には聞こえないような声で山形が呟く。
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