第28章 ・他所の宿題 終わり
「いいよ、どうせ条善寺の人にはロリって言われてるし及川さんには意地悪されるし兄様はバレーの事はブレないのに私の扱いはブレブレだしチームの人も瀬見さんと白布さんと大平さん以外は好き勝手言って遊ぶし五色君は何も考えてないし。」
「いやあの文緒さん落ち着いてというかお兄さんは扱い一貫してると思うんだけど」
「でもちょくちょく私を小さい子みたいに扱うんだよ、言うに事欠いてたまに女子だって事を忘れるって。」
「あ、ええと、その」
「私俗に言うキャラ崩壊っていうの起こしそう。」
「起こしちゃだめええええっ。」
谷地は大慌てでぶつぶつ言いだす文緒をなだめにかかる。それはもうひどい混沌ぶりであったが後々に谷地が語ったところによるとかの牛島文緒と一番打ち解ける事が出来たひと時でもあったという。
そうしてそろそろ日も暮れる頃、文緒は日向、影山と一緒に谷地邸を出る事になった。
「突然でしたのに本当にありがとうございました。」
頭を下げる文緒に谷地の母である谷地円はいいのよと微笑む。
「仁花の精神鍛錬の為にも次はお兄さん連れてきてもらおうかしら。」
「お母さんっ。」
「兄にはハヤシライスで手を打ってもらいます。」
「文緒さんまでっ。」
「ごめん、冗談。」
「もおお。」
膨れる谷地に横で日向がブブブと吹き出し影山はキョトンとした顔をしている。
「それでは失礼します。」
「シァース。」
こうして白鳥沢のウシワカ妹と烏野の変人コンビは谷地邸を後にしたのだった。
薄暗がりの中、ぴょこぴょこズンズンポテポテとそれぞれの歩き方で3人が歩いている。
「文緒さん、1人で帰れる。」
「いくら何でも大丈夫だよ、日向。」
「そっか。家の人には。」
「お友達のとこによる事になったってメールしてるしさっきもそろそろ帰るってメールした。あ、念の為兄様にも。」
「やっぱりするんだ。」
「心配すると思うから。」
「何か、あの人がそんなに妹の心配するってイメージわかねえ。」
ボソリと言う影山に文緒は無理もないと苦笑する。