第28章 ・他所の宿題 終わり
「出来たーっ。」
日向の歓声が上がる。
「俺も出来た。」
対照的に静かに言うのは影山だがこちらも顔がさりげなく嬉しそうである。
「私も今日やるつもりのとこは綺麗に終わったよー。」
「私も出来た。」
谷地と文緒も隣同士で微笑み合って控えめだがハイタッチなぞをしている。
「やー助かったー、谷地さんと文緒さんのおかげだなっ。」
「おう。」
「いやいや、そんなこと。」
「日向達が頑張ったからだと思うよ。」
「うへへ。でも助けがなかったらどーしよーもなかった。な、影山。」
「おう。」
「次は自力でもっと出来るようにしないとね。」
「谷地さんの言うとーりだよなぁ。」
「てか俺らはありがてえけどウシワカ妹は大丈夫なのか。」
「自分の宿題は何とかしてるから大丈夫。ただ谷地さんちにお邪魔して他所の宿題手伝ったのを兄様が知ったらどうなるかはわからない。」
「何で、文緒さん怒られたりすんの。」
「兄様最近変なんだ、何かにつけて人を惹きつけてるかもしれないから気をつけろって。だから同じチーム以外の男子と一緒にいたらいい顔しないかも。」
「変なの。」
「何ていうかその、ますます大事にされてるんだね。」
良いように言えばそうだが文緒は苦笑するしかない。そこへ身も蓋もない事を口にしたのは影山だった。
「頑固親父なのか。」
途端文緒は頭を抱えた。
「影山君にまで言われるなんて、ああ何て事。」
「影山っ、もっとオブラートに包めよっ。ただでさえ文緒さん月島から兄ちゃんが超シスコンとか縁下さんから天然お嬢様とか言われてんだぞっ。」
「日向それ余計に文緒さんへこんじゃうっ。」
「ええっごめんっ。」
だがしかしもう遅い。文緒はテーブルに突っ伏していた。