第28章 ・他所の宿題 終わり

「最初は全然関心持たれてなかったから。」
「なのにシスコンにするとかお前凄いな。」
「凄いのかなそれって。あとシスコンはやめて。」
「影山はモテてもすぐフラれるタイプだなっ。」
「うるせえ日向ボゲェッ、よくわかんねーけど腹立つっ。」
「大丈夫だよ、影山君なら可愛がってくれるお姉様がきっと見つかるよ。」
「そうか。」
「何か文緒さんがそんな事言うの不思議。」
「そうかな。」

そんな他愛もない話をしながら最寄り駅まで来た時である。

「あ、れ。」

文緒は呟いて足を止めた。

「どしたの、文緒さん。」

文緒は困惑しつつとある一点を見ていた。人が行き交う中見覚えのあるでっかい野郎が1人こちらへ近づいてきている。どうしようと思っているうちに

「文緒。」

上から降ってくる聞きなれた低い声に文緒は固まった。

「に、兄様。」

ウシワカこと牛島若利その人である。固まったのは文緒だけではない、日向と影山も固まっていた。

「どうしてこちらに。」

おずおずと尋ねる義妹に対して義兄の方は当然のようにのたまう。

「メールでよこしてきた場所を見る限り寄れる範囲だったからな、迎えに来た。」
「そうですか。」

入れ違いになったらどうするつもりだったんだろうと文緒は思う。

「それより」

若利は案の定文緒の後ろにいる日向と影山を見逃さない。

「何故ヒナタショウヨウとカゲヤマトビオがいる。」
「その、一緒にいたので。」

黙っている訳にもいかないので答えれば若利の眉間の皺が深くなった。気づいたらしい日向がカタカタ震え、影山は震えこそしないものの構えている雰囲気を醸し出す。

「文緒にいらぬ手出しをしたのではあるまいな。」
「兄様っ。」

いくら何でも行き過ぎである、恥ずかしくなった文緒は思わず義兄の腕を軽くペシンとし、日向と影山は天下のウシワカが妹に叩かれていると驚く。

「いいい意地悪とかそんなんしてないですっ。」

そんな中で日向が上ずった声で答えた。頼んだ訳でもなかったのによくぞ頑張ってくれたものだと文緒は思う。

「たた単に俺達文緒さんに宿題でわかんないとこ教えてもらっただけですっ。じょ、女子も一緒でしたっ。」
「宿題。」