第27章 ・他所の宿題 その2
そんなこんなで谷地邸にて文緒は烏野勢と一緒に勉強しつつ、おやつまで頂いてしまいつつわいわいと過ごしていた。
「谷地さん達は元気そうだけど烏野の他の皆さんもお元気。」
「うん。特に田中さんと西谷さんが。」
「あの縁下さんに捕まってた人達。」
「そう。」
「確かに賑やかそうな人達だったけど。」
「こないだも清水先輩をむやみやたら崇めてスルーされて妙に喜んでるから縁下さんに引きずられてた。」
「縁下さんやっぱり強いんだ。というか清水さんも谷地さんも綺麗な人達は大変だね。」
「えええええっ、そんな、綺麗だなんて私には恐れ多いぃぃぃぃぃ。」
「そんな事ないよ、自信持って。」
「ううう、文緒さんの優しさが染みるぅ。」
「ええと、泣かないで。」
「文緒さん、」
ガールズトーク―多分―の中、日向がふと口を挟んだ。
「首から下げてんの何。」
日向の目は文緒の胸元で光る銀色のプレートに向けられていた。言うまでもない、義兄の若利から贈られ白鳥沢のバレー部連中からは迷子札だの首輪だのずっと言われているあのペンダントである。
「ああこれ。兄様が私にって。」
文緒が答えると谷地が女子らしくキャッと言いたそうな顔になり、日向は驚愕の表情を浮かべる。
「う、ウシワカがっ、プレゼントしたのっ。あの人そんなん出来るのっ。」
日向にまでは言われてはどうしようもない。
「私も意外だったんだけどいつも頑張ってるからってお母様と一緒に選んでくれたみたい。」
「そ、そーなんだ。何だかその、牛島さんらしいセレクトだね。」
一生懸命言ってくれている谷地の様子から文緒は状況を汲み取った。