第26章 ・他所の宿題 その1
寧ろ過保護に拍車がかかり膝に乗っけられるわ人前で抱き上げられるわ頑固親父みたいな発言をされるわと大変な方向になっているが。
「兄ちゃんとどっか行ったりすんの。」
「こないだ兄様とチームの人達と一緒に海行った。」
「海、すげー。」
日向が文緒からするとよくわからない所で感心しここで谷地があれと疑問を呈する。
「チームの人達って事は男子ばっかりなんじゃあ。」
「そうだね。」
こういう所は義兄の事が言えない文緒は何も考えずに答え、
「ええええええっ。」
谷地が激しく動揺した。
「そんなっ、ウシワカさんだけでも圧がすごいのに他にもおっきい人達がいっぱいの巨人の密林で、お嬢様が1人いいいいっ。」
「あの、谷地さん」
「おおお想像しただけで私だったら心臓出る、出るぅ。」
「わあああ谷地さんがヤバイーっ。」
「谷地さん落ち着いて、私は慣れてるからっ。」
思わぬ所でパニックが起こり逆に文緒の方がパニックになるところだった。
とか何とか言いつつも程なく谷地は落ち着いた。
「ああびっくりしたー。」
胸をなでおろして谷地は言う。
「寧ろ私がびっくりした。ごめんね、驚かせるつもりはなかったんだけど。」
「いやいや失礼シマシタ。」
「谷地さんって表現が凝ってるね。巨人の密林って言う人初めて。」
「いやそんな、その。」
「流石谷地さん。」
「ありがと日向。」
「ウシワカ妹って天然なのか。」
「影山君に言われると凄く複雑。」
「俺は天然じゃねえっ。」
「兄様が典型だけど私の周りはこういう人多いのかな。」
「だから俺は天然じゃねえっ。」
「はい、これは何て読むでしょう。」
「ぐ、えと、あ、あみほし。」
「残念、"あぼし(網干)"だよ。」
「何語だ。」
「日本語だよ、兵庫県の地名。」
「どこだかわかんねー県の地名なんかわかるかっ。」
影山君が姫路市の人に怒られない事を祈りたいなと文緒は思う。
「つかお前っ、仕返しかっ。」
ガルルルと唸る影山にしかし文緒はにっこり笑った。