第21章 ・海へ行く話 その2
「う、あ。」
「工は何動揺してる訳。」
「し白布さん俺別に。」
「まあ悪くはないけどな。」
「お、文緒似合ってんじゃん。」
「ありがとうございます、白布さん、瀬見さん。」
「自然褒め上手がいますね、大平さん。」
「そうみたいだな、太一。まあ瀬見はよく文緒さんの面倒みてるし。何にせよ文緒さんらしくていいんじゃないか。」
「なーんだ可愛いけどほぼ服に見える奴じゃん。これで文句言った訳、若利君。」
「肩と背中が露出しているのには変わりがない。」
「若利納得させようと思ったら明治時代までタイムスリップだな。」
「山形、それはどういった意味だ。」
「説明させんな。」
「おおおい文緒、これマジで水着か。」
「そうだよでもそこのリボンは触らないで五色君、解けると困るから。」
「そーなのか。」
「おら工、興味津々はその辺にしとけ。」
「魅惑のロリータなのはわかるけどねー。」
「ち、違っ、違います天童さんっ。」
「毎度申しますが私はロリータではありません。」
「カオスだなぁ。」
「言うなら止めに行けよ太一。」
「いや見てるの楽しい。」
「馬鹿。」
通りががりから道を開けてくれと声をかけられなかったらこのカオスはもう少し続いたかもしれない。
そんなこんなを経てからの事である。
「これ意味あるのかな。」
荷物番をしている文緒が呟いた。着ているのはでかい上着、人目を惹く事を気にした義兄の若利が自分のを被せたのである。ちゃんと袖は通したもののでかい事には変わりなく今文緒は上着を着ているというより何かにくるまっているような具合になっている。
「せっかく来たのに。」
「お前プールでもあんまうまく泳げないだろ、仕方ないんじゃね。」
一緒に荷物番をしている五色が言う。まさか文緒1人にする訳にも行かないのでチームの連中も交代でやる事にしたのである。