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【ハイキュー】ウシワカイモウト第二部

第20章 ・海へ行く話 始まり


「お前が息切れするのに他でどーにかなんのか。」

瀬見はうぐぅと唸り大平が苦笑した。


勿論これで話は終わらない。この日若利が帰宅すると義妹の文緒がいつになくしょんぼりとした顔で出迎えた。

「おかえりなさいませ、兄様。」
「ただいま。浮かない顔をしているようだが。」

バレーが絡まない所で気が付いたあたり若利も進化している。文緒は実はと切り出した。

「文芸部のお友達とプールに行く予定があったのですが」
「何。」
「お友達の方が都合が悪くなって代わりの日も取れそうになく」
「そうか。」
「初めてのことなので楽しみにしてましたが残念です。」
「何よりだ。」
「兄様、今何と。」
「いや。」

若利は珍しくごまかした。愛する義妹が人前で肌を晒さずに済むのは喜ばしい。しかし一方でしょぼんとしている様子は少々気になる。ふむと若利は呟いた。

「食事は。」
「まだです。お母様とお祖母様もお待ちです。」
「そうか。終わったら部屋に来い。」
「はい、兄様。」


夕飯を済ませて若利は先に自室へ戻る。しばらくしていると部屋の扉が控えめに叩かれた。

「入るといい。」
「失礼いたします。」

毎度毎度こいつら兄妹は上官と部下か、どこぞのミリタリーものか。入ってきた文緒はポテポテと若利の方へ歩み寄り、一瞬ためらって足を止める。薄手のワンピースを着たその姿は相変わらず年齢不詳でどうにも高校生には見えない。目配せすると義妹は頷いてポテッと若利の膝の上に座った。いつもの構図が出来上がる。

「プールに行くのが取り止めになったと言っていたな。」

義妹を抱きしめながら開口一番若利は言った。

「はい。」

文緒は頷いてからしかし不思議そうに見上げてくる。

「代わりといっては何だが」

若利は続けた。

「チームの連中と海に行く予定がある。一緒に来るか。」

見上げる文緒の目が丸くなる。
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