第5章 《関係》R18
が、泣いた。
俺と爛れた関係になってから、初めてが涙を見せた。
俺はきっと安心していたのだろう。はそろそろ俺とのアレやコレに夢中になって、木兎さんの存在なんか忘れるだろう…なんて、そんな風に。でも、よく考えたら当たり前じゃないか。好きでも無い男に何度も何度も抱かれて、恥ずかしいことも沢山させられて。最中に俺に重ねる面影は木兎さんじゃないか。俺達が回数を重ねる度に、は木兎さんを思い出して。辛さを重ねさせていただけじゃないか。
「…、ごめんな」
の中に入り込んでいた俺自身を出そうとして、腰を引く。
すると。
「やっ…違うの!やだ、やだ、出ていかないで…!」
彼女から出てくるのは涙と否定の言葉。それから、防衛反応で溢れた愛液。何が違うのだろうか。何が嫌なのだろうか。彼女にとって、「この関係」は一体どういうもの何だろうか。
「でも、は俺に木兎さんを重ねて…辛いんだろ?好きでもない男に抱かれて、イって。木兎さんの代わりでもなればなんて思ってたけど、それが余計にを辛くさせてたんだろ?」
「…っえ?」
彼女に問えば、当の本人は、訳が分からないと言うように心底驚いたような声を出してこちらを見上げてきた。
「…は?え、木兎さん…?何で、木兎さん…?」
???
えっと、どういうことだ?
「いや、だから、は木兎さんのことが好きで、でも木兎さんは白福さんと付き合ってるから、手の届かない人に恋して、だから慰め合おうってことで、俺達この関係続けて来たんだよね?」
順を追って成り行きを辿って行くも、相変わらず頭の上にクエスチョンマークを浮かべたままの。涙は一瞬にして枯れたようだ。
「え、いや、赤葦先輩、私別に木兎さんのこと、恋愛対象として好きな訳では…ないよ…それを言うなら、赤葦先輩こそ、雪絵先輩のことが好きで、でも雪絵先輩と木兎さんはカップルで…どうにもならない人に恋したって、そういうことなんでしょ?」
まてまて。盛大な勘違いだ。