第5章 《関係》R18
彼とのこの歪んだ関係が始まってから、もう3ヵ月経つ。これまでに赤葦先輩と身体を重ねてきた回数は両手に余るほど。
悲しいことがあったときも、嬉しいことがあったときも。
なんとなくのときも、ただ欲が溜まったというだけのときも。
いろんな日、いろんな時にいろんな場所でセックスをした。彼自身をこの口で咥えて奉仕したことも、彼の苦くてどろりとした精液を飲み下したこともある。私とのセックスでサディストにうっすら目覚めてしまった彼にオナニーさせられたことも、縛られて、ローターをクリに貼り付けたまま放置されてしまったこもある。お陰で私は目覚めてはいけない何かに目覚めようとしているきがする。この3ヵ月でシた体位は全部思い出そうとしても少々無理があり、それが、私達のこの関係、この行為が当たり前になってきていることを暗に表していた。
これが、普通になってしまったのだ。まぁだからと言って私はビッチに成り下がった理由でもなく、赤葦先輩以外には抱かれていない。そこが譲れない私のプライドなのだろうと最近気が付いた。
そして今日も、彼とセックスをするのだ。
今日は、親が出張で居ないということで彼の家で。赤葦先輩の柔らかなベッドに沈められ、彼の匂いを堪能していると、むすっとした本人と目が合った。
「匂いなんて、ここにいる本人に抱き着いて嗅げばいいだろ」
「んーん、赤葦先輩の匂いと、シーツの柔軟剤の匂いが混ざった匂い。これは、赤葦先輩の匂いとは別の匂いなの。赤葦先輩の匂いも、ベッドの匂いも、どっちも好き」
あれからもう3ヶ月。3ヶ月も経っているのに。私と赤葦先輩の関係は変わらないままで。1歩を、踏み出せなくて。
身体だけの関係でいいと思っていたのに、それがいざ叶ってしまうと、人間というものは、更にその上を欲するもののようで。
私は今日、初めて泣きながら抱かれた。
ずっと我慢してきたのに。服を脱がされる度に、私の心を覆うものがなくなって。彼が私の身体に舌を這わせる度に、胸の奥からあっついものが込み上げてきて。
一生懸命、止めようとしたのに。
涙だけは流すまいと、ここまで踏ん張ってきたのに。
彼と私の距離が0になった瞬間、終に、私の頬を熱い水が流れ落ちた。