第5章 《関係》R18
「赤葦先輩…同じ境遇の者同士、慰めあお…」
赤葦先輩が何かを言いかける前に。私を拒絶する前に。
私がそう言うと、赤葦先輩はびっくりしたような顔で私をみた。改めて自分が言ってることの恥ずかしさを感じた。私を抱き締めてくれる赤葦先輩の腕の中に、思わず顔を埋める。すると聞こえてくる、何時もより少し早めの鼓動。
「うん…本当に俺達は似てるね、考えることまで一緒なんて…俺も、のこと慰めてあげたいし、このどうにもならない気持ちを、どこかにぶつけてしまいたい」
いけないことだとは分かっている。身体だけの関係なんて。行為に感情が伴わないなんて。そんなの悲しくて悲しくて仕方ない。
でも、慰めてあげたくて、慰めて欲しくて。赤葦先輩の熱が欲しくて。もっともっと、深いところまで触れていたくて。
ああ、「京治くん」って呼べる日は、もう2度とこないだろうな。私が彼のセフレである限り。そしてそれはきっと、これから先ずっとなのだろう。
私が彼の恋人になれたら。
京治くんって呼びたかったのに。
そんな些細なことも、もう叶わない。
私を抱き締めていた赤葦先輩の腕はゆっくりと解かれ、私をそのまま押し倒した。